公務員からITエンジニアへの転職は、文系・未経験からでも十分に目指せます。市役所や県庁、国の機関、学校など、さまざまな職場の公務員がITエンジニアに転職しています。
この記事では、公務員からITエンジニアに転職する流れを5つのステップで解説します。最初に職種を決めなくてよい理由、どれくらい学習が必要か、公務員の経験をどう伝えればよいかまで、順番に整理します。
この記事の結論
- 公務員からITエンジニアへの転職は、文系・未経験からでも十分に目指せる
- 未経験からの転職は20代から30代前半が中心だが、30代後半で転職する人もいる
- 流れは「仕事の全体像を知る→基礎を幅広く学ぶ→ポートフォリオを作る→書類と面接の準備→応募」の5ステップ
- 未経験の段階で目指す職種を一つに決める必要はない。基礎を学び、入社後の経験の中で得意分野を見つけていけばよい
- 公務員経験は「調整力」「文書化の力」「業務知識」として評価される。言い換えて伝えるのがポイント
公務員からITエンジニアへの転職は難しい?
難しすぎるということはありません。ただし、何も準備せずに応募しても書類選考は通りにくいのが現実です。企業は未経験者に対して「入社後に学び続けられるか」を見ているため、学習の実績と、なぜITエンジニアなのかを説明できる準備が必要です。
年齢については、未経験の職種への転職は20代から30代前半のほうが選択肢が広い傾向があります。一方で、30代後半で転職する人もおり、年齢だけで諦める必要はありません。
公務員がITエンジニアを選ぶ理由
公務員がITエンジニアを目指す理由としてよく挙がるのは、大きく3つです。
- 専門性が積み上がる:数年ごとの異動でリセットされる働き方から、一つの分野でスキルを深められる仕事へ
- 働き方を選べる:リモートワークや転勤のない働き方を実現しやすい
- 評価が見えやすい:年功序列より、スキルと成果で評価される環境に移りたい
詳しくは公務員からITエンジニアへ転職した人に共通する3つのきっかけでも紹介しています。
公務員からITエンジニアに転職する5つのステップ
| ステップ | やること | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 1 | ITエンジニアの仕事の全体像を知る | 1〜2週間 |
| 2 | ITの基礎を幅広く学ぶ | 3〜6か月 |
| 3 | ポートフォリオを作る | 1〜2か月 |
| 4 | 応募書類と面接の準備をする | 2〜4週間 |
| 5 | 応募・選考・内定 | 1〜3か月 |
期間は、働きながら平日に1〜2時間、休日に数時間学習する場合の目安です。学習時間の確保の仕方によって前後します。
ステップ1 ITエンジニアの仕事の全体像を知る
ITエンジニアにはさまざまな職種があります。代表的なのは次の2つです。
| 職種の例 | 主な仕事 |
|---|---|
| 開発エンジニア(Web・業務システム) | プログラムを書いてシステムを作る・改修する |
| インフラエンジニア(サーバー・ネットワーク) | システムが動く土台を設計・構築・運用する |
ここで大切なのは、未経験の段階で目指す職種を一つに決めなくてよいということです。全体像をざっくり知っておけば十分です。理由は次の3つです。
- 実際に手を動かしてみるまで、何が自分に合うかはわかりにくい
- 未経験者の採用では、職種の希望よりも「ITの基礎があるか」「入社後も学び続けられるか」が見られることが多い
- 最初から職種を絞ると、応募できる求人が少なくなる
得意分野は、入社後の研修や実際のプロジェクトを経験する中で見えてくることがほとんどです。経験を積んでから専門を決めても、遠回りにはなりません。
仕事の違いをもう少し知りたい方は開発エンジニアとインフラエンジニアの仕事内容や働き方の違いをご覧ください。官公庁や自治体のシステムを手がける「公共系SE」のように、公務員の業務知識が活きる働き方もあります(公共系SEとは?官公庁・自治体システムの仕事内容)。
ステップ2 ITの基礎を幅広く学ぶ
職種を決めていない段階では、どの職種に進んでも使う基礎から学ぶのが近道です。たとえば、Webの仕組み(HTML・CSS・JavaScript)、プログラミングの基本、データベース(SQL)、Linuxやネットワークの基礎などです。幅広く学ぶ中で、「作るのが楽しい」「仕組みを支えるほうが性に合う」といった自分の向き不向きも自然と見えてきます。
独学でも学べますが、働きながらの学習は「何をどの順番で学ぶか」で迷って止まりやすいのが難点です。スクールや支援サービスを使って、学習の順番と期限を先に決めてしまうのも一つの方法です。
ステップ3 ポートフォリオを作る
ポートフォリオは、自分で作ったアプリやシステムのことで、未経験者にとっては「学んだことを使える」証拠になります。教材の写しではなく、「誰の、どんな困りごとを解決するか」から自分で考えたものが評価されやすくなります。
公務員の場合、窓口や庶務で感じた非効率を題材にするのも一つの方法です。たとえば、紙で管理していた備品の貸し出しを記録・検索できるアプリなど、自分の経験から生まれた題材は面接でも話しやすくなります。
ステップ4 応募書類と面接の準備をする
公務員からの転職でほぼ確実に聞かれるのが「なぜ安定した公務員を辞めるのか」です。答えるときは、不満ではなく「ITエンジニアとして実現したいこと」を軸にします。
公務員の経験は、ITエンジニアの仕事に言い換えると次のように伝えられます。
| 公務員の経験 | ITエンジニアの仕事での言い換え |
|---|---|
| 住民や事業者への窓口対応 | 利用者の要望を聞き取り、整理する力(要件のヒアリング) |
| 関係部署との調整、議会対応 | 関係者の合意形成、プロジェクトでの調整 |
| 規程や通知文の作成 | 仕様書や手順書などのドキュメント作成 |
| 法令や制度に沿った正確な事務処理 | 仕様どおりに抜け漏れなく作る、テストする姿勢 |
| 制度や業務の知識 | 官公庁・自治体向けシステムでの業務知識 |
ステップ5 応募・選考・内定
応募は複数社を並行して進めます。未経験者を採用している企業には、自社でサービスを開発する企業、受託開発を行う企業(SIer)、技術者を顧客先に派遣するSESなどがあり、働き方や育成の仕組みが異なります。業態の違いはIT企業の業態3種類にまとめています。
応募の段階でも、職種を一つに絞り込む必要はありません。職種名よりも、未経験者を育てる研修や体制があるか、入社後にどんな経験を積めるかを基準に、幅広く応募するのがおすすめです。
内定が出たら条件を確認し、退職の手続きに進みます。公務員ならではの退職時の注意点(雇用保険が原則適用されないことなど)は、公務員から民間企業へ転職する流れで解説しています。
年齢別に見た準備の考え方
20代
ポテンシャル採用の対象になりやすく、選べる求人の幅が広い年代です。学習を始めるのが早いほど、選択肢を広く持てます。
30代前半
未経験からの転職でも、まだ十分に選択肢がある年代です。学習の実績に加えて、公務員としての経験を「チームで仕事を進める力」として具体的に伝えると、20代との差別化になります。
30代後半
求人の数は20代より少なくなりますが、転職できないわけではありません。業務知識を活かせる公共系の案件や、マネジメント経験を評価する企業を狙うなど、応募先の選び方を工夫すると可能性が広がります。
転職後の働き方の変化
ITエンジニアに転職すると、リモートワークやフレックスタイムなど働き方の選択肢が増え、異動でリセットされずにスキルが積み上がる実感を得やすくなります。転勤のない働き方を目的に転職する人もいます。
転職直後の年収は、未経験の場合は前職と同程度か、下がることもあります。一方で、経験を積んだ後に、より条件の良い会社へ転職して年収を上げる人もいます。
よくある質問
Q. 文系の公務員でもITエンジニアになれますか?
なれます。公務員からITエンジニアに転職する人の多くは文系出身です。必要なのは理系の知識より、継続して学ぶ習慣と、わからないことを調べて解決する力です。
Q. 働きながら勉強する時間はどれくらい必要ですか?
目安として、平日1〜2時間と休日数時間で、基礎からポートフォリオ作成まで半年前後です。学習の順番を決めて、毎週の学習時間を固定すると続けやすくなります。
Q. 資格は必要ですか?
必須ではありません。職種を決めていない段階なら、ITパスポートや基本情報技術者試験のように、IT全般の基礎を問う資格が学習の目安になります。最初の一歩としてITパスポートを取得するメリットも参考にしてください。
Q. ITエンジニアは激務ではありませんか?
職場によって大きく異なります。リモートワークやフレックスタイムを取り入れている企業も多くあります。詳しくはITエンジニアは激務?よくあるイメージと現実をご覧ください。
まとめ
公務員からITエンジニアへの転職は、仕事の全体像を知る、基礎を幅広く学ぶ、ポートフォリオを作る、書類と面接の準備をする、応募する、の5ステップで進みます。最初から職種を一つに決める必要はなく、入社後の経験の中で得意分野を見つけていけば十分です。文系・未経験、30代からでも実現している人は多くいます。
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