公務員が在職中に転職活動をしても、自分から話したり、勤務中に活動したりしない限り、職場に知られることは多くありません。応募先の企業が、本人の同意なく勤務先に連絡することも通常はありません。ただし、公務員には守秘義務や職務専念義務などのルールがあり、知らずに行動すると、転職活動そのものより大きな問題になることがあります。
この記事では、公務員の転職活動が職場に知られるきっかけ、在職中に守りたいルール、退職を伝えるタイミングと伝え方を順番に整理します。
この記事の結論
- 公務員が在職中に転職活動をすること自体は禁止されていない。職場に知られるのは、多くの場合「自分の行動」がきっかけ
- 勤務時間中の活動、職場のパソコンやメールの使用、同僚への相談は避ける。面接は年次休暇などを使って勤務時間外に行う
- 守秘義務は退職後も続く。応募書類や面接では、非公開の情報に触れずに経験を説明する
- 退職は内定と条件を確認してから伝える。国家公務員の場合、書面で辞職を申し出れば、特に支障のない限り承認される
公務員の転職活動は禁止されている?
禁止されていません。公務員にも職業選択の自由があり、在職中に次の仕事を探すこと自体は問題ありません。
ただし、次のようなルールがあるため、活動の「やり方」には注意が必要です。
| ルール | 内容 | 根拠(国家公務員/地方公務員) |
|---|---|---|
| 職務専念義務 | 勤務時間中は職務に専念する | 国家公務員法第101条/地方公務員法第35条 |
| 守秘義務 | 職務上知った秘密を漏らさない。退職後も続く | 国家公務員法第100条/地方公務員法第34条 |
| 兼業の制限 | 許可なく営利企業の役員を兼ねたり、報酬を得て事業に従事したりしない | 国家公務員法第103条・第104条/地方公務員法第38条 |
| 求職の規制(国家公務員) | 職務と利害関係のある企業に、退職後の就職を目的に自分の情報を提供するなどの行為をしない | 国家公務員法第106条の3 |
国家公務員の求職の規制は、契約や許認可、検査などで関わりのある企業が対象です。応募先が該当するかわからない場合は、事前に所属の人事担当に確認しましょう。地方公務員も、自治体によって独自の定めがある場合があります。
転職活動が職場に知られる主なきっかけ
職場に知られるきっかけは、ほとんどが本人の行動によるものです。
| 知られるきっかけ | 防ぎ方 |
|---|---|
| 同僚や上司に相談した、話した | 内定が出て退職を伝えるまでは、職場の人には話さない |
| 勤務中に転職サイトや求人を見ていた | 転職活動は勤務時間外に、自分のスマートフォンやパソコンで行う |
| 職場のメールアドレスや電話番号を応募に使った | 連絡先は個人のメールアドレスと携帯電話にする |
| 平日に急な休みが増えた | 面接の日程はまとめて調整し、休暇の取り方が不自然にならないようにする |
| 面接用の服装や、資格の勉強の様子から気づかれた | 必要以上に話題にしない |
| SNSに転職の話を書いた | 実名や職場がわかるアカウントでは書かない |
応募先の企業が、本人の同意なく現在の勤務先に連絡したり、在籍確認をしたりすることは通常ありません。気になる場合は、応募の段階で「在職中のため、現職への連絡は控えてほしい」と伝えておくと安心です。
在職中の転職活動で気をつけたいこと
面接は勤務時間外か、休暇を使って受ける
勤務時間中に面接を受けたり、職場を抜けて応募の電話をしたりすると、職務専念義務に反するおそれがあります。面接は年次休暇などを使うか、夕方以降やオンラインの面接を選びましょう。オンライン面接や、夜の時間帯の面接に対応している企業も多くあります。
応募書類や面接で、非公開の情報に触れない
守秘義務は退職した後も続きます。職務経歴書や面接で実績を説明するときは、個人の情報や、公表されていない数字・計画などに触れず、業務の種類や規模、自分が工夫したことを中心に伝えましょう。職務経歴書の具体的な書き方は公務員の職務経歴書の書き方で解説しています。
報酬を受け取る活動は許可なく始めない
転職の準備として学習や資格の取得をするのは問題ありません。一方で、報酬を受け取って仕事をする場合は、兼業の許可が必要です。「実績づくりのために、許可なく有償の案件を受ける」といったことは避けましょう。
職場の設備や情報を使わない
職場のパソコンで求人を検索したり、職場で作った資料を応募書類に流用したりするのは避けます。転職活動は、自分の機器と自分の時間で行うのが基本です。
退職はいつ、どう伝える?
内定と条件を確認してから伝える
退職の意思を伝えるのは、内定が出て、年収や入社日などの条件を書面で確認してからにしましょう。内定前に伝えてしまうと、職場に居づらくなったり、引き止めにあって判断が揺らいだりすることがあります。
伝える時期の目安
退職を申し出る時期は、所属の規程や慣例を確認したうえで、引き継ぎに必要な期間を考えて決めます。一般的には、退職したい日の1〜2か月前に伝えると、後任の手配や引き継ぎが進めやすくなります。年度末での退職を考えている場合は、人事異動の調整が始まる前の時期に伝えると、職場の負担を減らせます。
伝える相手と順番
最初に伝えるのは、直属の上司です。同僚や他部署の人に先に話すと、上司が人づてに知ることになり、話がこじれる原因になります。
- 直属の上司に、個別に時間をもらって伝える
- 上司と相談しながら、退職日と引き継ぎの進め方を決める
- 所属の手続きに沿って、退職願(辞職願)を提出する
- 同僚や関係者には、上司と相談したタイミングで伝える
国家公務員の場合、任命権者は、職員から書面で辞職の申し出があったときは、特に支障のない限りこれを承認するものとされています(人事院規則8-12 第51条)。地方公務員の手続きは自治体ごとに定められているため、人事担当に確認しましょう。
伝え方の例
退職の理由は、職場への不満ではなく、自分の今後の方向性として伝えると、話がこじれにくくなります。
「突然のご相談で申し訳ありません。今後のキャリアについて考え、民間企業で専門性を身につける仕事に挑戦したいと考えるようになりました。〇月末での退職を希望しています。引き継ぎは責任を持って行いますので、進め方をご相談させてください。」
引き止められた場合も、感謝を伝えたうえで、すでに次の道を決めていることを落ち着いて伝えましょう。
退職前に確認しておきたいお金の手続き
公務員の多くは雇用保険の適用外のため、退職しても失業保険は原則として受け取れません。退職手当の扱いや、健康保険・年金の切り替えは、公務員は退職しても失業保険がもらえない?で詳しく解説しています。退職の流れ全体は公務員から民間企業へ転職する流れをご覧ください。
よくある質問
Q. 転職サイトに登録すると、職場に知られますか?
転職サイトの多くには、特定の企業に自分の情報を表示しない設定があります。登録するときに、現在の勤務先や関係する団体が見られないように設定しておくと安心です。
Q. 内定先から、現在の職場に在籍確認の連絡はありますか?
本人の同意なく連絡されることは通常ありません。心配な場合は、選考の途中で「現職への連絡は控えてほしい」と伝えておきましょう。
Q. 退職を伝えたら、強く引き止められました。辞められないのでしょうか?
国家公務員の場合、書面で辞職を申し出れば、特に支障のない限り承認されることになっています。引き継ぎに協力する姿勢を示しつつ、退職の意思がはっきりしていることを伝えましょう。
Q. 休職中に転職活動をしても大丈夫ですか?
休職は療養のための期間なので、まずは回復を優先することが大切です。詳しくは公務員が休職中に転職を考えるときに知っておきたいことで解説しています。
まとめ
公務員の転職活動は、自分から話さず、勤務時間外に、自分の機器で行えば、職場に知られることは多くありません。守秘義務や職務専念義務、兼業の制限などのルールを守り、内定と条件を確認してから、直属の上司に退職の意思を伝えましょう。
TechVillageでは、在職中の公務員の方が無理なく転職活動を進められるよう、退職のタイミングも含めて無料カウンセリングで相談を受け付けています。
参考資料
- 国家公務員法 第100条・第101条・第103条・第104条・第106条の3(e-Gov法令検索)
- 地方公務員法 第34条・第35条・第38条(e-Gov法令検索)
- 人事院規則8-12(職員の任免)第51条(e-Gov法令検索)

