プロフィール
氏名:T・Yさん(32歳)
前職:県庁職員(6年間勤務)
現職:中堅IT企業のエンジニア(転職2年目)
Q1:県庁を辞めようと思った理由を教えてください
入庁したときは地域のために働けることに誇りを感じていました。配属されたのは産業振興の部署で、企業支援や補助金の審査業務を担当していたんです。ただ、3年目あたりから感じ始めたのが「毎年同じサイクルが繰り返されている」という感覚でした。
もちろん仕事の意義は理解していましたが、自分自身のスキルが積み上がっている実感が持てなくて。周りを見ても、先輩たちは20年前とほぼ同じやり方で仕事をしている状況でした。このまま30代、40代を迎えることに対して、強い焦りを覚えたんです。
そんな折、業務システムの更新プロジェクトで外部のエンジニアと接する機会がありました。彼らが技術を駆使して課題を解決していく姿を見て、「自分もこういう働き方がしたい」と思うようになりました。
Q2:未経験からの転職に踏み切れたのはなぜですか?
最初は正直、迷いました。30歳を超えてからのキャリアチェンジは遅いんじゃないかとか、向いていないんじゃないかとか、いろいろ考えました。
でも、たまたまネットで見つけたTechVillageの無料相談に申し込んでみたんです。そこで驚いたのが、カウンセラーの方も元県職員だったこと。同じような悩みを抱えて転職した経験談を聞いて、「ああ、自分だけじゃないんだ」と安心できました。
TechVillageでは基礎学習から実践演習、それに転職活動のサポートまで段階的に進められる仕組みがあって、何をすればいいか迷わずに済みました。公務員特有の職歴の見せ方や、面接でのアピールポイントまで細かく指導してもらえたのは本当に助かりましたね。学習を進めるうちに、「意外と自分にもできるかもしれない」という手応えを感じられるようになりました。
Q3:エンジニアになって最初の1年はどうでしたか?
最初に配属されたのは既存システムの保守チームでした。Javaを使ったバグ修正や機能追加がメインで、正直なところ最初の数ヶ月は毎日が必死でしたね。コードレビューで指摘されることも多くて、へこむこともありました。
ただ、県庁時代と決定的に違ったのは「自分の成長が目に見える」ということ。できなかったことができるようになる、書けなかったコードが書けるようになる。その積み重ねが楽しくて、気づけば休日も勉強している自分がいました。
特に印象に残っているのは、半年後に任された小規模な機能開発です。要件定義から設計、実装、テストまで一通り担当させてもらって、リリース後にユーザーから「使いやすくなった」というフィードバックをもらえたときは、県庁では味わえなかった達成感がありました。
Q4:転職2年目の今、どんな業務をしていますか?
今は開発チームに所属しています。主に企業向けの業務効率化ツールの開発を担当していて、バックエンドの実装やAPI設計などを任されるようになりました。
面白いのは、県庁時代に見てきた行政手続きの非効率さが、今の開発に活きているということ。「こういう機能があったら現場は助かるはず」という視点で提案できるのは、公務員を経験したからこそだと感じています。
チームのメンバーとも対等に議論できるようになって、先月は自分が設計した機能が実際にリリースされました。給料も県庁時代より上がりましたし、何より「自分で稼ぐ力がついてきている」という実感が持てるのが嬉しいですね。
Q5:公務員からエンジニアを目指す人へ、伝えたいことはありますか?
「安定を捨てるのは怖い」という気持ちは本当によくわかります。自分もそうでした。でも、安定と引き換えに失っているものがあることにも目を向けてほしいんです。成長の機会、新しい挑戦、市場価値を高めるチャンス。それらを取り戻すために動くことは、決して無謀なことじゃありません。
公務員として培った「正確に業務を遂行する力」や「関係者と調整する力」は、エンジニアの現場でも間違いなく役立ちます。自分の場合、TechVillageという信頼できる環境があったから、不安を乗り越えて前に進めました。
もし今、少しでも現状に疑問を感じているなら、まずは情報収集から始めてみてください。動き出すことで見える景色は、必ず変わります。
編集後記
T・Yさんの言葉からは、「安定」という言葉の裏側にある停滞への危機感が伝わってきました。公務員という立場に甘んじることなく、30代という節目で新たな挑戦を選んだ決断は、多くの方にとって勇気を与えるものでしょう。県庁で培った経験が、民間企業のエンジニアとして別の形で花開いている。そんな可能性を示してくれたインタビューでした。年齢や経歴を理由に諦めるのではなく、自分の可能性を信じて一歩を踏み出すこと。それが未来を変える唯一の方法なのかもしれません。

